WOLFRAMMEDIA

新しい科学計算システムの基礎概念に関するS.ウルフラムの新著

新しい科学世界の基本システムとメカニズム

Stephen Wolfram

A New Kind of Science

2002年5月出版　1,197頁　ハードカバー　￥6,950　ISBN 1-57955-008-8

世界で最も広く知られている科学者のひとり、S.ウルフラムの待望の一冊である。単純なコンピュータの実験から出発して、われわれの宇宙を形づくる基本原理と予想をはるかに越えた結果が、新しい科学計算システムと驚異的なコンピュータ・グラフィックスにより紹介されている。ウルフラムは、科学世界の基本的な問題を、彼独自の方法論を用いて解析している。熱力学の第2法則の起点、生物学における複雑な成長過程、数学における計算の限界、物理学の基本理論の可能性、人間の自由意志と決定論との相互作用などの根元的な問題が論じられている。ウルフラム自身によれば、「この新しい科学世界の基本原理の発見は20年以上の半生にわたる研究の成果である。1981年頃からスタートしたコンピュータの実験を通して、現在の数学や科学の枠内では説明できない全く異なった結果を得、その結果を理解するためには新しい科学世界の法則を展開する必要があり、新しい基本原理“A New Kind of Science”の構築が急務であった。また、1980年代の初めに、コンピュータの実験から若干の結果を得、物理学、数学、コンピュータ・サイエンス、生物学に新風を吹き込んだセルオートマトンと云われる相互に接続した系の数学的なモデルについての研究成果を発表したが、充分に満足するものではなかった。1986年のウルフラム研究所の設立や世界的な科学計算プログラム“Mathematica”の開発などにより、常に熟考していた基礎科学の解明に向けて大きな前進を可能にし、“A New Kind of Science”に挑戦することができた。」と語っている。本書は、コンピュータ・サイエンス、力学系、生物系やその近傍系の研究だけでは、科学世界を構築する基本原理について、コンパクトで明快な文体で1,000にも及ぶ事例をあげて説明している。なお、ウルフラムは20才（1979年）で理論物理学の博士号を取得、1980年代の初めに複雑系の研究で卓越した業績をあげている。1981年に、最初のMacArthur‘genius’賞を受賞しており、ソフトウェア・システム“Mathematica”の開発は有名である。

Preface: 1. The Foundations for a New Kind of Science.- 2. The Crucial Experiment.- 3. The World of Simple Programs.- 4. Systems Based on Numbers.- 5. Two Dimensions and Beyond.- 6. Starting from Randomness.- 7. Mechanisms in Programs and Nature.- 8. Implications for Everyday Systems.- 9. Fundamental Physics.- 10. Processes of Perception and Analysis.- 11. The Notion of Computation.- 12. The Principle of Computational Equivalence.- Notes.- Index.